大橋信彦さん(名取ハマボウフウの会)

津波によって閖上の自宅は流出し、海岸のハマボウフウ保護区も壊滅したかと思われました。しかし4月上旬、保護区の中にハマボウフウの新芽を発見することができたのです。その様子はテレビで放映され、“復興のシンボル”として多くの人に希望を与えたようでした。また、臨空公園に近いハマボウフウ栽培畑でも、彼らはがれきの中から元気に顔を覗かせておりました。 


6月には、北は北海道から南は静岡まで、全国の海岸で活動する市民団体が集まり、名取で「ふるさと海辺フォーラム」を開催しました。甚大な被害を受けた中でのフォーラムでしたが、多くの仲間に囲まれて、「これまで私たちが育ててきたのはハマボウフウだけではなく、集まってくださったネットワークの皆さんとの絆であった」ことを実感しました。 

7月には、広瀬川1万人プロジェクトのメンバーでもある情報労連から100名もの方々にハマボウフウ栽培畑の整備に来ていただき、畑は見違えるようにきれいになりました。

 

また、環境学習林として活用してきた「ゆりりん」の松林もほとんどが倒壊しましたが、生き残った松の中には元気な松かさを付けているものがありました。それを京都で天橋立の保全活動を行っている市民団体に送り、苗作りをしてもらっています。早ければ、二年後には名取の松を再び海岸に植えることができます。

 

一方、私が仮住まいをしている内陸部のアパートのそばを流れる増田川には、荒海を越えてサケが遡上してきました。その姿を見て、「魚たちは自分たちの命をつなぐ営みを、これからもずっと続けていくのだなあ..」と改めて感じたことでした。

 

219日、名取市で“自然と文化を活かした震災復興”をテーマに市民講座を開きます。

いま、私たちが切に願うことは、私たちの日々の暮らしを支えてきた自然や文化を大切にした暮らしの営みを、一日も早く復興させることです。